大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和35(し)43 決定

主 文

本件各特別抗告を棄却する。

理 由

被告人ら八名の弁護人高橋万五郎、同半沢健次郎、同太田幸作および同樋口幸子

の特別抗告趣意第一について。

所論は憲法一四条違反をいうけれども、原決定に所論のような判示があるからと

いつて、これをもつて直ちに労働運動に対する不当な偏見と誤解に出でているもの

ということのできないのはもちろん、原決定をもつて特別抗告人らがただ組合員で

あるということのみを理由として、管轄移転の決定をしたものということはできな

いから、所論違憲の主張は、既に、その前提において失当であつて、採用できない。

同第二について。

所論は憲法三一条違反をいうが、その実質は訴訟法違反の主張に帰し、特別抗告

適法の理由とならないばかりでなく、原決定が本件につき刑訴一七条一項二号に該

当する事由の存することを十分に判示していることおよび原裁判所がこの管轄移転

により被告人らの被るべき不利益の点についても十分考慮の上で決定していること

は、原決定の全説示に照らし明らかなところであるから、原決定をもつて、所論の

ような違法があるものとすることもできない。

同第三について。

所論は原決定の憲法三二条、三七条、七六条違反を主張する。しかし、憲法三二

条は、すべて国民は憲法または法律に定められた裁判所においてのみ裁判を受ける

権利を有し、裁判所以外の機関によつて裁判をされることはないことを保障したも

のであつて、訴訟法で定める管轄権を有する具体的裁判所において裁判を受ける権

利までも保障したものではないこと(当裁判所昭和二三年(れ)第五一二号同二四

年三月二三日大法廷判決、集三巻三号三五二頁)、憲法三七条一項は、偏頗でない

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公平な組織構成を有する裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を被告人に与えたに

ほかならないものであること(同昭和二三年(れ)第一〇一号同二三年七月一四日

大法廷判決、集二巻八号八四六頁)および憲法七六条三項にいう裁判官が良心に従

うとは、裁判官が有形、無形の外部の圧迫ないし誘惑に屈しないで、自己の内心の

良識と道徳感に従う意味であること(同昭和二八年(あ)第一七一三号同三二年三

月一三日大法廷判決、集一一巻三号九九七頁)は、いずれも、当裁判所大法廷の判

例とするところであるから、所論の採用し難いことは、右各判例に照らして明らか

である。

被告人Aの弁護人渡辺大司の特別抗告趣意(三)について。

所論は判例違反をいうけれども、原決定は所論の如く単に一般民衆が裁判の帰趨

に甚大な関心を寄せているということだけで裁判の公平を維持し得ない虞れがある

とは判断していないのであるから、所論判例違反の主張は、既に、その前提におい

て失当であつて、採用できない。

同(一)、(二)および(四)について。

所論(一)は憲法三二条違反、同(二)は憲法七六条違反、同(四)は害法三一

条違反を主張するけれども、その採用し難いことは、既に、弁護人高橋万五郎ほか

三名の特別抗告趣意第三、第二につき述べたとおりである。

よつて、刑訴四三四条、四二六条一項に則り、裁判官全員一致の意見で、主文の

とおり決定する。

昭和三五年一二月二〇日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

裁判官 島 保

裁判官 高 橋 潔

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裁判官 石 坂 修 一

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